【建築】工事現場で使われている車の接地圧の求め方を考えてみる【施工】

当ページのリンクには広告が含まれています。

今回の記事では、車両が地面にかける圧力、「接地圧」について考えてみることにします。特に、皆さんが工事現場でとてもよく目にするタイヤを使った車と、キャタピラを使った車の接地圧を求める基本的な考え方と計算方法を分かりやすく解説していきます。

目次

建築現場でよく見る車両の種類

現場でよくみる車両のタイプ

建築現場でよく使われている車両はタイヤ周辺の形状から

①タイヤ式 と ②キャタピラ式

の2種類のタイプに分けられます。

それぞれのタイプによって接地面に与える重さの大きさが異なってきます。

接地圧って何?(基本的な考え方)

地面に物を置くと、その物の重さが地面に伝わりますよね。接地圧というのは、この「重さ」が、地面と接している「面積」あたりどれくらいの力でかかっているかを示すものです。

タイヤ式車両の接地圧

タイヤ式の車の場合、「重さ」は車の総重量、「面積」は全てのタイヤが地面に触れている部分の合計面積になります。

基本的な計算式は

設置圧 = 車両の総重量 ÷ 全てのタイヤの接地面積の合計

となります。

タイヤ式車両の接地圧の計算例

例えば、総重量が 2000 kg (2t)の乗用車を考えてみましょう。この車が4本のタイヤで地面に接していて、タイヤ1本あたり地面に触れている面積が、だいたいハガキ半分くらいの 0.05 平方メートルだとします。

① まずは、車の総重量を「力」の単位であるニュートン [N] に直します。

地球上では、1 kg の物に約 9.8 N の力がかかりますので、 2000 kg × 9.8 N/kg = 19600 N となります。

② 次に、全てのタイヤが地面に触れている面積を合計します。

タイヤ1本あたり 0.05 平方メートルなので、4本だと、 0.05 平方メートル × 4 本 = 0.2 平方メートル です。

③ 最後に接地圧を計算します。

接地圧 = 19600 N ÷ 0.2 平方メートル = 98000 N/m2

このように、この乗用車の接地圧は 約 98000 N/m2 になります。

N/m2は、パスカル [Pa]という圧力の単位でもあらわされることがあります。
パスカル [Pa]は、「1平方メートルあたりに1ニュートンの力がかかっている」という意味です。

知っておきたいこと

  • 地面の状態や車の動きによって、実際にタイヤが地面に触れる面積は少し変わります。
  • 車の重さが均等にタイヤにかかっているとは限りません。特に、急ブレーキをかけたときなどは、前のタイヤに重さがかかります。
  • タイヤの空気圧を変えると、地面に触れる面積も変わるので、設置圧も変わります。空気圧が高いほど、接地面積は小さくなり、設置圧は高くなります。

キャタピラ式車両の接地圧

キャタピラの接地圧の考え方

工事現場でよく見かけるショベルカーなどのキャタピラを使った車両は、タイヤと比べて地面に触れる面積が非常に大きいです。そのため、同じくらいの重さの車両の場合でも、タイヤ式よりも接地圧が低くなる傾向があります。

基本的な計算の考え方はタイヤ式と同じで、

設置圧 = 車両の総重量 ÷ 全てのキャタピラの接地面積の合計

で求められます。

キャタピラの場合、地面に触れている接地面積は、

片側のキャタピラの接地している長さ × キャタピラの幅 × 2(両側分)

で計算することができます。

キャタピラ式車両の接地圧の計算例

仮にタイヤ式の車両の計算例と同じく総重量が 2000kg (2 トン)の建設機械を例に考えてみましょう。片側のキャタピラが地面に触れている長さが 2.0 メートル、キャタピラの幅が 0.5 メートルだとします。

① 総重量をニュートンに換算:

2000 kg × 9.8 N/kg = 19600 N

② 片側のキャタピラの接地面積を計算

2.0 メートル × 0.5 メートル = 1.0 平方メートル

③ 両側のキャタピラの接地面積を合計

1.0 平方メートル × 2 本 = 2.0 平方メートル

④ 接地圧を計算

接地圧 = 19600 N ÷ 2.0 平方メートル = 9800 N/m2 

この建設機械の接地圧は 約 9,800 N/m2 になります。
先ほどのタイヤ式車両は 接地圧が 約 98,000 N/m2  でしたので

キャタピラ式の車両はタイヤ式の乗用車と比べて、
同じくらいの重さでも接地圧が低いことが分かりますね。

知っておきたいこと

  • キャタピラの場合も、地面の凹凸などによって実際に地面に触れる長さが変わることがあります。
  • キャタピラの構造上、地面との接触面全体に均一な圧力がかかっているわけではありません。特に、キャタピラを支えるローラーの部分などは、少し圧力が大きくなることがあります。
  • 柔らかい地面では、キャタピラが少し沈み込むことで、接地面積が広がり、設置圧が低くなることもあります。

タイヤ式車両とキャタピラ式車両を比べてみて

今回の記事では、タイヤ式車両とキャタピラ式車両の接地圧の基本的な計算方法を見てきました。どちらの車両も、「重さ ÷ 接地面積」で接地圧を求めることができますが、接地面積の考え方が大きく違うことが分かりました。

接地圧を知ることは、道路や地面への負担を理解する上でとても大切です。
特に、重い車両が通る場所では、接地圧を考慮して設計や施工管理が行われているのです。


この記事をかいている人
  • 著者:ひまり
  • 建設会社に勤務する中堅社員。一級建築士。
  • 若手社員からよく質問されることをまとめています。
  • この記事が建築業界で働くみなさまのちょっとした疑問解決のお役に立てたらうれしいです。
建築を楽しく
わかりやすく

目次