【建築】図面の見方。先輩は教えてくれない読み方のコツ

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建築業界に就職する高校生・大学生や新入社員・若手社員のみなさんは最初に図面の読み方で苦労することが多いと思います。建築実務では大量の図面を効率よく読み解いて仕事を進めていかなくててはなりません。しかし、意外と図面の見方って教えてもらう機会が少ないものです。この記事ではこれから建築実務をはじめる人向けに図面の見方のポイントをお話していきます。

【 先輩は教えてくれない図面の見方と読み方のコツ 第1回 】

目次

建築図面ってなに?種類と全体像をやさしく解説!

「とりあえず図面見といて」と言われて途方に暮れた。。。

建築業界に入って間もない頃。
配属初日に先輩から何気なく「この図面、明日までに目通しといて」と渡されました。
A2サイズの紙を手にした瞬間、頭の中は「???」。

周りの先輩たちは図面をスラスラ見て、さも当然のように話している。
でも自分は、何から見ればいいかすらわからない。
「こんな分厚くて何が書いてあるかわからなものどうしたらいいんだ…」「やばい、置いていかれる…」

新人時代、こんな焦りを感じたり図面の厚さに途方にくれたことがある人も多いのではないでしょうか。

図面を読む力は、建築の現場で生きていくための『言語力』のようなもの。
本シリーズでは、そんな「図面に自信がない新人さん」のために、図面の基本と読み方のコツをやさしく解説していきます。

建築図面とは?ざっくり言うと「建物の説明書」

建築図面は、建物を建てるために必要な情報を、図と記号で表した設計書です。
設計士、施工管理、職人、営業…立場の違う人たちが、同じ建物を同じ認識で作るために必要不可欠な「共通言語」なんです。

図面には、建物の大きさや間取り、材料、細かい納まりまで、あらゆる情報が詰まっています。
その分、「とっつきにくい」「何が書いてあるかわからない」と感じてしまうのも無理はありません。

でも大丈夫。まずは図面の『種類』と『目的』を理解することが、図面読解の第一歩です。

建築図面にはこんな種類がある(まずはここだけ覚えればOK)

数ある図面の中でも、新人がまず押さえておきたい基本の5種類を紹介します。

1. 配置図(はいちず)

建物が敷地内のどこに建つのかを示す図面。
敷地の形状、道路との関係、隣地との離れ、北の方向などが描かれています。

2. 平面図(へいめんず)

建物を真上から見た図。各階ごとに、部屋の配置や寸法、建具(ドアや窓)の位置がわかります。
最も使用頻度が高く、図面の中心ともいえる存在。

3. 立面図(りつめんず)

建物の外観を正面・側面などから見た図。
窓の大きさや位置、外壁の仕上げ、全体の高さのバランスがわかります。

4. 断面図(だんめんず)

建物を縦にスパッと切って、中の構造や階高、天井・床の関係を示した図です。

5. 詳細図(しょうさいず)

壁の中の構造や接合部などを拡大して描いた図。
「この部分、どうなってるの?」というときに確認する『拡大図』です。

まずどこを見る?新人向け・図面の「見る順」ランキング

図面を渡されたとき、何となく全体を眺めて終わってしまう…そんな人は多いはず。
でも、実は「図面を見る順番」にはコツがあります。

【図面を見るときのおすすめ順】

  1. 配置図: 敷地の形、北の方向、道路や隣地との関係を見る
  2. 平面図: 部屋の配置や動線、寸法感覚をつかむ
  3. 立面図: 外観のバランス、高さ、窓や出入口の位置
  4. 断面図: 床や天井、階高、屋根の形状などを確認
  5. 詳細図: 納まりや構造、具体的な施工方法を確認

この順番で「外から中へ → 大きな視点から細かい部分へ」と見ていくと、図面の構造が自然と頭に入ってきます。

先輩たちが『無意識にやってる』図面の見方とは?

現場で図面をサッと開き、「この納まりどうなってる?」「ここのクリア高さ確認しよう」と動き出す先輩たち。

実はこれ、図面を見る順と『必要な情報の引き出し方』が体に染み込んでいるからなんです。

  • まず目立つ建具や階段など「基準になる要素」を見つける
  • 対象の範囲を確かめ、関連する図面(断面・詳細)を照合する
  • 記号や略語の意味をすぐ理解できる

これらは、経験だけでなく「図面の構造を理解している」からこそできる動き。

新人のうちから『どこを見れば何がわかるか』を意識して読むことで、着実にこの感覚が身についていきます。

図面が読めると、会話がわかるようになる

図面を読めるようになる最大のメリットは、『現場の会話が理解できるようになること』です。

「この建具の納まり、A-●●番図に書いてあったでしょ」
「FLから天井まで2,400、そこに換気扇くるから注意ね」
…こんな会話も、図面が読めるようになるとちゃんと意味が分かってきます。

分かるって、自信につながります。

まずは【種類】と【見る順】からスタートしよう

図面がわからないのは、あなたの理解力がないわけではありません。
ただ、図面の「見方のルール」をまだ知らないだけ。

最初に図面の種類と構造をつかみ、見る順番を意識すれば、驚くほどすんなり頭に入ってくるようになりますよ。

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この記事をかいている人
  • 著者:ひまり
  • 建設会社に勤務する中堅社員。一級建築士。
  • 若手社員からよく質問されることをまとめています。
  • この記事が建築業界で働くみなさまのちょっとした疑問解決のお役に立てたらうれしいです。
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