【建築】図面の見方。「施工図」の読み方のコツを現場目線で解説!

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建築業界に就職する建築学生や新入社員・若手社員のみなさんは最初に図面の読み方で苦労することが多いと思います。建築実務では大量の図面を効率よく読み解いて仕事を進めていかなくててはなりません。しかし、意外と図面の見方って教えてもらう機会が少ないものです。この記事ではこれから建築実務をはじめる人向けに図面の見方のポイントをお話していきます。

【 先輩は教えてくれない図面の見方と読み方のコツ 第3回 】

目次

図面が読めるようになってきた…と思ったら、次に現れるのが「施工図」

意匠図・構造図・設備図の違いや基本的な見方がわかってきたタイミングで、現場に登場するのが「施工図」。
でもこれが、新人にとってはかなりの難敵。

  • 「設計図と何が違うの?」
  • 「施工図って誰が描いてるの?」
  • 「細かすぎてどこ見ればいいのかわからない…」

そんな戸惑いを感じる人も多いのではないでしょうか?
この記事では、施工図の役割や種類、そして新人が覚えておくべき【読み方のコツ】を解説します。

【1】施工図とは? … 設計図との違いを知ろう

まず押さえておきたいのが、「施工図は設計図とは目的がまったく違う」ということ。

設計図と施工図の違い

項目設計図施工図
作成者設計事務所・設計者ゼネコンや専門業者
主な目的建築主や行政への説明・確認現場での施工の指示書
内容建築物全体の計画・仕様実際の施工に必要な寸法や納まり
精度やや抽象的非常に具体的(施工可能な情報)

つまり、設計図が「こう作りたい」なら、施工図は「こうやって作る」ための図面なんです。
現場で職人さんが実際に手を動かすために必要な【超実務向け】な内容が詰まっています。

【2】施工図の種類と読みどころ

施工図と一口にいっても、内容はさまざま。
代表的な種類と、それぞれの読みどころをざっくり紹介します。

● 躯体図(くたいず)

鉄筋コンクリート造などで必要な、柱・梁・壁の位置や寸法、スリーブ(貫通穴)の位置などを記載した図。
構造・設備との干渉に注意。スリーブの位置は要確認!

● 仕上図(しあげず)

内装や外装の仕上げ材、取合いの納まりなどを記載した図。
仕上げ材の重なり・段差・施工方法の整合性に注目。

● 建具詳細図

ドアや窓などの形状・取付方法・枠まわりの情報が細かく描かれる。
部材同士の【取り合い】がポイント。壁の厚みや見込みも要チェック。

● 設備施工図(空調・給排水・電気など)

配管・配線のルート、取付高さ、支持方法など。
建築・構造と【ぶつからないか】を確認する目を養おう。

【3】施工図の読み方のコツ3選

情報量の多い施工図。全部を一気に理解しようとするのはNG。
まずは以下の3つのコツを意識してみてください。

コツ①|平面 → 断面 → 詳細 の順に見る

施工図は1枚だけ見てもわからないことがほとんど。
基本は「平面図で全体を確認 → 断面で高さや構成を見る → 詳細図で納まりを確認」という流れ。

  • 平面図:どこに何があるか
  • 断面図:高さ方向の構造や空間の関係
  • 詳細図:実際の接合部や寸法、仕上げ方法

この流れで図面を【立体的に想像する力】を育てていきましょう。

コツ②|「納まり」を意識する

施工図で最も大切なのが、部材と部材の【納まり(取り合い)】
実際に施工する上で、「材料が納まらない」=「現場が止まる」大問題。

見るべきポイント:

  • 床・壁・天井の接点
  • 建具と仕上げ材の境目
  • 設備配管がどこを通っているか

初心者はまず、「ぶつかってそうなところがないか」を探すだけでも大きな一歩です。

コツ③|現場と照らし合わせる

図面だけではイメージが湧かないときは、実物を見るのが一番。

  • 躯体図を見ながら、打設された柱・梁をチェック
  • 建具詳細図と、現場のサッシ取付を見比べる
  • 設備図を持って、実際の配管ルートを追ってみる

現場で「これって図面のあの部分か!」という体験を積むことで、図面がどんどん【読める】ようになります。

【4】施工図は「整合」が命

施工図を読み慣れてくると、次に重要になるのが「整合性の確認」です。
特に、意匠・構造・設備の整合が取れているかを意識する習慣をつけましょう。

チェックのポイント:

  • 躯体図と設備図のスリーブ位置が合っているか?
  • 仕上図の厚みと構造体の厚みは矛盾していないか?
  • 設備機器の大きさ・設置スペースは確保されているか?

整合が取れていない施工図は、現場でトラブルのもとになります。
新人のうちは気づけなくて当然ですが、「おかしいかも?」と感じる視点を持っておくことが、将来大きな財産になります。

まとめ|施工図を読むことは【現場のリアル】を知ること

施工図は、設計図よりも【現場でどうやってつくるか】に特化した図面です。
難しそうに感じるかもしれませんが、読み方のコツを押さえて、少しずつ経験を積めば、確実に読めるようになります。

最初に覚えておくべきこと

  • 平面・断面・詳細図をセットで読む
  • 納まりの整合に注目する
  • 現場と図面を見比べて体感的に覚える
  • 意匠・構造・設備の整合確認を意識する

図面が読めるようになると、現場の見え方がガラッと変わります。
「図面が読める=現場を先読みできる」という力。
焦らず、コツコツと読み方のスキルを磨いていきましょう!

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この記事をかいている人
  • 著者:ひまり
  • 建設会社に勤務する中堅社員。一級建築士。
  • 若手社員からよく質問されることをまとめています。
  • この記事が建築業界で働くみなさまのちょっとした疑問解決のお役に立てたらうれしいです。
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