【建築】図面の見方。「詳細図・納まり図」の読み方のコツ

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建築業界に就職する建築学生や新入社員・若手社員のみなさんは最初に図面の読み方で苦労することが多いと思います。建築実務では大量の図面を効率よく読み解いて仕事を進めていかなくててはなりません。しかし、意外と図面の見方って教えてもらう機会が少ないものです。この記事ではこれから建築実務をはじめる人向けに図面の見方のポイントをお話していきます。

【 先輩は教えてくれない図面の見方と読み方のコツ 第4回 】

目次

「納まり図」ってどう読むの?おさえておくべき納まりの基本と見方のコツ

「納まりが悪いな…」と言われても、何が悪いのか分からない!

現場に出ると、先輩や職人さんがよく言います。

「この納まり、無理があるな」
「収まり見て描き直して」
「これ、どうやって納めるの?」

でも新人のうちは「そもそも【納まり】って何?」「どう見ればいいの?」と戸惑う人がほとんどです。
納まりは図面の中でも特に【実務的】な知識が求められる分野。だけど、先輩は意外と教えてくれない。

そこで今回は、「納まり図」の基礎知識から、図面を見るときのポイント、そして新人でもできる【納まり感覚の磨き方】まで、わかりやすく解説します。

1. そもそも「納まり」ってなに?

建築における「納まり」とは?

建築における納まりとは、異なる部材や仕上げがぶつかる部分を、見た目・機能・施工性のバランスを考えて、きれいに処理することを言います。

たとえば…

  • 壁と天井の取り合い
  • 壁と床の接点
  • サッシと外壁の境界
  • 設備の配管が壁を貫通する部分 など

つまり、納まりとは「モノとモノのつながり方」のこと。
図面上で寸法が合っていても、実際にどう【きれいに】施工するかは別問題。そこに納まり図の出番があるのです。

2. 「詳細図・納まり図」はどんな図面?どこを見る?

納まり図は、主に詳細図や断面図として描かれます。

よくある納まり図の例:

  • 天井・壁・床の交点(いわゆる「三方納まり」)
  • 開口部まわり(サッシ・扉・シャッターなど)
  • 水まわり(トイレや洗面所の配管取り合い)
  • 外壁の出隅・入隅、笠木、ルーバーまわりなど

納まり図で確認すべきポイント:

  • どの部材が何ミリで重なっているか?(断面をしっかり読む)
  • 仕上げの順番と材料の厚さ(施工手順をイメージ)
  • 隙間が空きすぎていないか?詰まりすぎていないか?
  • 水がたまらない形状か?掃除しやすいか?

3. 新人でも押さえられる!納まり図の読み方のコツ

コツ①:厚みと材料名に注目する

納まり図には、下記のように各材料の厚み仕上げ名が書かれています。

12.5PB + ビニールクロス仕上げ
25角ルーバー(t=1.6)@50
アルミサッシ(見込100mm)

この情報をもとに、「実際のサイズ感」や「重なり方」を想像します。

【納まる】とは、【物理的に成立すること】
まずは、数字で想像するクセをつけましょう。

コツ②:「見えないところ」の処理を想像する

納まり図に描かれているのは、あくまで一部の断面
図に描かれていない部分も含めて、「どうやって取り付けてるのか?」「どうやって施工するのか?」を想像することが大切です。

例:

  • 天井のジプトン仕上げの裏は?
  • 外壁の金属パネルは何で固定されている?
  • その隙間にシーリングはある?防水は大丈夫?

見えない部分に思いを馳せるクセをつけると、【納まりを見る目】が磨かれていきます。

コツ③:「施工手順」から逆算して考える

どんなに図面でキレイに描けていても、実際に施工ができなければNGです。

たとえば…

  • ビスが打てない位置関係になっている
  • 先に取り付けるはずの部材が奥に描かれている
  • 工事の順番的に矛盾している

納まり図を見るときは、施工の流れをイメージしてみましょう。

「これ、先にAをつけて、その後Bをかぶせて、最後にCを仕上げるな…」
「でもこの寸法じゃAが施工できないかも?」

こんな風に考えられるようになると、一気に【現場の図面感覚】が身についてきます。

4. 見落としがちな「納まり図あるある」

新人がよく見落とすポイントもいくつか紹介します。

サッシと外壁の取り合い

  • サッシの見込み寸法と、外壁の厚さが合っていない
  • 雨仕舞(防水処理)の納まりが不明確

設備配管まわり

  • 壁を貫通する配管の【貫通スリーブ】が納まっていない
  • 床下の排水管が梁やスラブと干渉している

天井裏スペース

  • 照明・空調・ダクトなどが干渉して、納まりきらない
  • 吊りボルトの取り合いが考慮されていない

5. まとめ:納まりを制する者は、現場を制す!

納まり図が読めるようになると、【図面を見る目】がグンと成長します。

建築は、最終的には「人の手で施工される」もの。
そのためには、図面と現場がつながっている必要があります。

納まり図は、まさにその【つなぎ役】
設計と施工の間を理解できる新人は、現場でも設計でも信頼される存在になれます。

  • 納まりとは「モノとモノの取り合い」や「つながり方」のこと
  • 納まり図は、断面・詳細で【現場の処理】を示す大切な図面
  • 読み方のコツは「厚みを見る」「見えない部分を想像する」「施工順を意識する」
  • 納まりを見る目は、現場力を底上げする力になる!

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この記事をかいている人
  • 著者:ひまり
  • 建設会社に勤務する中堅社員。一級建築士。
  • 若手社員からよく質問されることをまとめています。
  • この記事が建築業界で働くみなさまのちょっとした疑問解決のお役に立てたらうれしいです。
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