【建築】図面の見方。図面チェックのコツとポイント

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建築業界に就職する建築学生や新入社員・若手社員のみなさんは最初に図面の読み方で苦労することが多いと思います。建築実務では大量の図面を効率よく読み解いて仕事を進めていかなくててはなりません。しかし、意外と図面の見方って教えてもらう機会が少ないものです。この記事ではこれから建築実務をはじめる人向けに図面の見方のポイントをお話していきます。

【 先輩は教えてくれない図面の見方と読み方のコツ 第5回 】

目次

「図面チェック」って何を見ればいいの?新人が最初に押さえるべき3つの視点

「図面、チェックしといて」…え?どこを見ればいいの?

現場に出るようになると、先輩や上司からこんなことを言われます。

「これ、意匠と構造で整合とれてる?」
「図面上だと納まりが厳しくない?」
「スリーブ、梁と干渉してない?」

でも新人にとっては「【図面チェック】って何?」「どこをどう見ればいいの?」というのが本音。
図面を見るだけじゃなく、【違和感を見つける目】が求められる。それが図面チェックの仕事です。

今回は、新人が最初に押さえるべき図面チェックの基本的な考え方と、よくあるチェックポイントを3つに分けて解説します。

1. 図面チェックとは「整合性」と「施工性」を確認する作業

図面チェックの目的は、設計図が矛盾なく、現場で施工できる状態かを確認することです。

建築図面は、意匠・構造・設備といった複数の図面で構成されており、それぞれの図面がきちんと連携している必要があります。

たとえば…

  • 意匠図では開口があるのに、構造図では梁が通っている
  • 設備図ではスリーブがあるのに、構造図では梁に干渉している
  • 天井裏のスペースが足りなくて配管が通せない

こうした不整合や施工上の問題点を事前に見つけ、指摘・調整するのが【図面チェック】です。

2. 新人でもできる!図面チェックの3つの視点

【視点1】意匠・構造・設備図の「整合性」を見る

もっとも基本で、かつ重要なのが【図面同士のズレ】に気づくこと。

例えばこんなケース:

  • 意匠図ではドアがあるのに、構造図に開口がない
  • 構造図の梁に設備のダクトがぶつかっている
  • 意匠図と設備図で天井高さが異なる

チェックのコツ:

  • 同じフロアの意匠・構造・設備の平面図を並べて比較する
  • 開口・スリーブ・天井高さなど、部位ごとに【違いがないか】を見比べる

【視点2】納まりや寸法に矛盾がないか?

図面上の寸法や納まりが成立しているかも重要です。

よくあるミス例:

  • 壁の厚さとサッシの見込みが合っていない
  • 建具枠と仕上げ材の取り合いが不自然
  • 設備のダクトが入るスペースが実は足りない

チェックのコツ:

  • 断面図や詳細図で部材の重なりや寸法を確認する
  • 「この部材、本当に納まる?」と想像してみる

【図面上では納まっているように見えても、実際には難しい】ということも多々あります。

【視点3】実際に「施工できる」かを考える

整合性や寸法だけではなく、施工の現実性にも目を向けましょう。

施工性に関するチェックポイント:

  • 搬入経路が確保されているか?(大型機械など)
  • 足場や施工手順を考えると矛盾がないか?
  • 工程の順番で、後から施工できない部分がないか?

チェックのコツ:

  • 基礎→構造→仕上げ…という施工の順序を頭に思い描きながら図面を見る
  • 「現場の人はどうやって施工するんだろう?」という視点をもつ

この視点をもてるようになると、実務的な理解がグッと深まります。

3. 見落としやすい「要注意ポイント」

新人がよく見落としがちなチェック項目も紹介しておきます。

スリーブと構造の干渉

梁の中にスリーブが入ってしまっているケース。設備図に描かれていても、構造図を見ていないと気づきません。

開口・建具の整合性

意匠図にある開口位置が、構造図や設備図とずれていることがあります。特にエレベーターまわりや非常口など要注意。

階段・エレベーターまわりの寸法

昇降機メーカーの仕様と整合しているか、階段の段数や高さが構造と合っているかなど、複雑な取り合いは特に慎重に。

天井裏スペース不足

空調・電気・給排水の配管すべてを通す必要がありますが、天井高や梁せいによっては納まりがつかないことも。クリアランスの確認が必要です。

4. 最後に:図面チェックは【図面の整合確認】が要

建築図面は、1枚では完結しません。
意匠図・構造図・設備図、それぞれが情報の断片であり、すべてが整合してはじめて現場が動き出します

新人のうちからこの意識をもってチェックをしておくと、

  • なぜこの図面が必要なのか
  • どこに注目すべきなのか
  • 自分の仕事がどう現場につながるのか

が見えるようになってきます。

【まとめ】

図面チェックは、単なる【ミス探し】ではありません。
【建築が現場で成立するために必要な「事前の目利き」】です。

今回覚えておきたい3つのポイント:

  • 各図面間(意匠・構造・設備)の整合を意識する
  • 寸法や納まりが無理なく成立しているか想像する
  • 実際に現場で施工可能かを考える習慣をもつ

【見る目】は経験と共に養われていきます。
最初のうちはチェックリストを使ったり、先輩と一緒に図面を確認したりして、少しずつ慣れていきましょう!

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この記事をかいている人
  • 著者:ひまり
  • 建設会社に勤務する中堅社員。一級建築士。
  • 若手社員からよく質問されることをまとめています。
  • この記事が建築業界で働くみなさまのちょっとした疑問解決のお役に立てたらうれしいです。
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