建築業界に就職する建築学生や新入社員・若手社員のみなさんは最初に図面の読み方で苦労することが多いと思います。建築実務では大量の図面を効率よく読み解いて仕事を進めていかなくててはなりません。しかし、意外と図面の見方って教えてもらう機会が少ないものです。この記事ではこれから建築実務をはじめる人向けに図面の見方のポイントをお話していきます。
【 先輩は教えてくれない図面の見方と読み方のコツ 第11回 】
図面に書いてないことをどう補うか?仕様書・指示書の読み方の基本
図面は建築の基本中の基本。でも、図面だけを読んでいれば工事が進む…というわけではありません。
建築の現場では「図面に書かれていないこと」が意外と多く、その空白を埋めるために仕様書や指示書といった文書を読む力が求められます。
今回は、図面を正しく理解し、ミスなく施工に活かすために欠かせない「図面以外の情報の扱い方」について、基本の考え方を解説します。
図面には【すべて】が書いてあるわけではない
新入社員の多くが最初に戸惑うのが、「図面を読んでも細かい部分がよく分からない」という体験です。
たとえば、
- どんな塗装材を使うのか
- 取っ手や金物の型番
- 仕上げの色や素材
- 規格の詳細や性能要件
など、図面には【記号】や【略語】でしか記載されていないことが多く、実際の工事内容を把握するには不十分です。
仕様書とは?どんな情報が載っている?
【仕様書(しようしょ)】は、建物の「設計意図」や「使用材料」「工法」などを文章で定めた資料です。以下のような内容が書かれています:
- 使用する建材のメーカーや品番
- 下地の処理方法
- 防水や断熱の仕様
- 施工精度の基準
- 法令や性能に関する要求事項
図面だけでは読み取れない情報を補足・明文化する資料なので、図面とセットで理解することが必要不可欠です。
指示書とは?現場でよく出てくる文書
指示書は、設計者や現場監督からの追加指示や変更内容を記載した文書です。
- 図面や仕様書には載っていない急な変更
- 部材の納期遅れなどに伴う代替品の指定
- 納まりの修正案
- 工程の調整や特記事項
など、【「現場で動くための生きた情報」】がまとめられています。
図面や仕様書だけを見て施工を進めると、こうした「現場指示」を見落としてしまうこともあるので要注意です。
どう読みこなす?実務でのポイント3つ
- 図面・仕様書・指示書は【セット】で確認する習慣を
→ ひとつの資料だけを頼らず、常に横断的にチェックしましょう。 - 変更履歴や差し替え資料に敏感になること
→ 古い図面や旧仕様に基づいて作業すると、やり直しの原因になります。 - 分からないことは都度【確認】が鉄則
→ 記号や略語の意味、仕様書の文章で曖昧な点などは、遠慮せず上司や設計者に確認を。
設計監理者も施工者も「読み替える力」が必要
設計監理の立場でも、現場で起きる問題や材料の変更に対応するには、図面や仕様書の意味を正しく理解し、指示を明快に出す力が求められます。
また施工側も、意図を汲み取って動ける人材が重宝されます。つまり、図面に書いてない部分をどう補うかが【仕事の質】を左右するのです。
まとめ:紙に書いていない情報を読み解く【視点】を持とう
図面は設計意図の「設計図」、仕様書は「取扱説明書」、指示書は「運用マニュアル」と言ってもいいかもしれません。
これらを組み合わせてこそ、本当の意味での【図面の読み方】が身につきます。
新人のうちから「図面の外側を読む視点」を持つことで、現場での信頼度もぐっと上がりますよ!


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