建築現場ではよく聞く「チリ」という言葉。建物をキレイに仕上げるために必要な部分ですが、建築を始めたばかりの時はこの言葉にピンとこないことも。
この記事では、建築初心者でもわかるように、「チリとは何か?」「なぜ必要なのか?」「どこで使われるのか?」をやさしく解説します!
「チリ」ってなに?現場でどこのことを言ってる?
「このチリ、5ミリでお願い」
「チリがそろってないと仕上がりが悪く見えるよ」
この「チリ」、建材同士が接する部分に設ける“余白”や“出寸法”のことなんです。
ちょっとした寸法の逃げや、仕上がりの美しさに関わる重要なポイントだったりするのです。
「チリ」とは?誤差を『調整』する部分
建築用語の「チリ」とは、異なる部材が取り合う時に設ける『誤差を調整する部分』のことです。
たとえばこんな場面で使われます。
- 壁とドア枠の取り合い
- 窓枠とクロスの納まり
- 床と巾木の取り合い
このように、2つの素材が接する部分で、あえて数ミリ程度の“逃げ”や“出っ張り”をつくっています。
この出っ張り部分のことを「チリ」といいます。
「チリ」は何のために必要?3つの大きな役割
1. 寸法誤差の調整に使える
現場では、設計通りの寸法で完璧に施工されることはほとんどありません。
クロスの厚み、ボードのズレ、施工時のブレなど、1〜2mmの誤差はよくある話です。
そんなとき、チリがあると微妙な誤差を“納まり”の中で吸収できるようになります。
結果として、仕上がりがきれいに見えるのです。
2. 見た目の美しさにつながる
チリがあることで、壁や枠のラインがシャープに出たり、光の陰影がきれいに見えたりします。
逆に、チリがなかったりバラバラだったりすると、仕上げが「ちぐはぐ」に見え、雑な印象に…。
建物の美観を保つためにも、意図的なチリ取りはプロのテクニックです。
3. 施工しやすくなる
例えば、巾木やクロス、窓枠などの仕上げ材は、ピッタリすぎると貼りにくく、仕上げがムラになりがちです。
チリがあることで、作業しやすくなり、仕上がり精度も上がるというメリットがあります。
チリの実例|現場での使われ方
ドア枠と壁のチリ
ドア枠が壁より数ミリ出ていること、ありますよね?
この出寸法が「チリ」です。クロスの厚みや壁のズレを吸収するために設けられます。
窓枠と内装のチリ
窓枠が壁よりやや引っ込んでいたり、出っ張っていたりするのも、施工誤差を吸収しながら、見た目を整えるためのチリです。
【現場会話例】「チリ」が出てくるシーンをのぞいてみよう
以下のような会話が、実際の現場では飛び交っています。
- 「この枠、チリが左右で違うね。直そう」
- 「壁から3ミリチリ出して納めてください」
- 「チリがないとクロスがよれちゃうよ」
- 「この納まり、チリが効いててきれいだね」
会話の中では、「チリ=調整のための余白」として自然に使われています。
チリの寸法に“正解”はある?
「チリは◯ミリが正解」というルールはありません。
現場の条件、素材、施工精度によって変わるため、全体の状況を見て総合的に判断して決められることが多いです。
ただし、同じ空間の中でチリ寸法をそろえると、仕上がりがグッと引き締まって見えます。
まとめ|チリを理解すると“納まり”が見えるようになる!
建築における「チリ」は、ただの隙間ではなく、誤差を調整し、仕上げを美しく見せるための重要な設計・施工要素です。
初心者のうちは意味がわかりにくいかもしれませんが、
「この部分にちょっとした余白を作って、ズレを吸収してるんだな」
という意識を持つだけで、図面の見方や現場の納まりがグッとわかりやすくなります。
ぜひ現場で「このチリ、何のためにあるんだろう?」と観察してみてください!
わかりやすく