建築の現場でよく耳にする「勾配(こうばい)」という言葉。
「1/10勾配ってどういう意味?」「どうやって計算するの?」と戸惑うことも少なくありません。
この記事では、勾配の基本的な意味と計算方法、そして現場で役立つ換算方法(分数・パーセント・寸)をやさしく解説します。
実際に現場で使える計算例や便利な電卓の紹介もあり。今日から即使える知識を一緒に身につけましょう!
目次
【1. 勾配とは?意味と単位を解説】
勾配(こうばい)とは、地面や屋根などの「傾きの度合い」のことです。
排水や雨水の流れを良くするために、建築ではごく当たり前のように使われています。
勾配のよくある例
表記 | 読み方 | 意味 |
---|---|---|
1/10勾配 | じゅうぶんのいちこうばい | 横に10m進むと、高さが1m上がる傾斜 |
1/50勾配 | ごじゅうぶんのいちこうばい | 横に50m進むと、高さが1m上がる傾斜 |
2%勾配 | にパーセントこうばい | 横に100m進むと、高さが2m上がる傾斜 |
3寸勾配 | さんすんこうばい | 横に10寸(約30.3cm)進むと、高さが3寸(約9.0cm)上がる傾斜 |
【2. 勾配の基本計算式】
勾配を計算するときの基本は次の式です
勾配(S)= 高さ(H)÷ 水平距離(L)
必要な高さ(H)= 水平距離(L)× 勾配(S)
必要な水平距離(L)= 高さ(H)÷ 勾配(S)
【例1】1/10勾配で水平距離が5mの時、高さはいくつあがる?
計算式:
5 m× (1 ÷ 10) = 0.5m
→ 高さは0.5m(=50cm)になります。
【例2】高さ1.2mを確保したい。1/12勾配では何m必要?
計算式:
1.2 ÷ (1 ÷ 12) = 約14.4m
→ 必要な水平距離は約14.4mです。
【2-1. 勾配の種類と換算(分数・%・寸)】
【1】分数勾配
- 最も基本的な表記
- 横に◯進むと縦に△上がる
- 例:1/20勾配 → 横20m進んで1m上がる
【2】パーセント(%)勾配
- 分数を100倍した表記。道路や土木で多用
- 例:1/20勾配 → (1 ÷ 20) × 100 = 5%
【3】寸勾配(屋根勾配で使用)
- 10寸(1尺 ≒ 30.3cm)を基準
- 5寸勾配 → 横に10寸で5寸上がる(=1/2勾配)
【3.換算表まとめ】
表記方法 | 例 | 分数換算 | パーセント換算(目安) |
---|---|---|---|
分数 | 1/20 | — | 5% |
パーセント | 10% | 1/10 | — |
寸勾配 | 5寸 | 1/2 | 約50% |
【4. 勾配の使われ方と目安】
用途 | よく使われる勾配 |
---|---|
排水(地面) | 1/100〜1/50(1〜2%) |
スロープ | 1/12(8.3%)以下 |
屋根 | 3寸〜5寸(30〜50%) |
【4. 勾配計算が捗るおすすめ電卓】
アスカ C1258
リンク
- 見た目は普通の電卓でも ( )つき計算に対応!
5 × (1 ÷ 10)
のような式もそのまま入力できる- 建築士試験にも使用可能(非関数電卓)
【6.勾配のまとめ】
- 勾配は「高さ=距離×勾配」で簡単に計算可能
- 分数・%・寸など用途によって表記が異なるが、変換もシンプル
- 計算のコツは「( )」を含めた電卓入力に慣れること!
わかりやすく